化学産業界のデータサイエンスとは?必要性について考える。

データサイエンス
会社の後輩君
会社の後輩君

データサイエンスに興味はあるっちゃあるんですが、

化学産業界にデータサイエンスって必要なんでしょうか?

どんなことしてるんですか?

やっちゃん
やっちゃん

化学産業界では新素材の開発や新製品の開発のために

データサイエンスを活用しているよ。

僕なりに解説するね。

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化学産業界でのデータサイエンスとは

 化学産業界にも様々な業界があります。薬、農薬、車、日用品、化粧品、食品、飲料を開発し、消費者に届けるBtoCメーカー、また、それら商品を開発する際に使用される素材を開発するBtoBメーカーです。そして、これまでの経験上、化学業界でのデータサイエンスとは従来または未来の研究データとデータサイエンスのスキルを組み合わせて、従来よりも性能や効果の良い商品や素材、そしてサービスの開発方法等を予測していくこと、かつ、膨大な化学データの取得環境や保存環境を構築していくことだと私は考えています。(もちろん消費者動向や市場を予測することもデータサイエンスですが、今回はモノの話。)

会社の後輩君
会社の後輩君

ふむふむ、わかりました。

でも、、予測ってことは結局最後は新素材や新商品を実際に作ってみて性能評価するんですよね?

だったら初めからデータサイエンスで予測する時間を省いて、手を動かして実験すればいいんじゃないですか?

やっちゃん
やっちゃん

うんうん、確かにそう思うかもしれないね。

化学産業界にデータサイエンスは必要か?

 化学産業界のデータサイエンスとは新しい素材や商品、そしてサービス等を開発していくことだと先に述べました。そのうち、新しい素材をデータ科学の最新スキルで予測・開発していくデータサイエンス領域を化学業界では以下のように呼びます。

  • マテリアルインフォマティクス(新しい素材や材料の開発)
  • ケモインフォマティクス(マテリアルインフォマティクスの上位互換。化学構造式を扱うデータサイエンス領域全般のこと)

 2011年のオバマ政権時に米国ではマテリアルズ・ゲノム・イニシアチブ(Materials Genome Initiative: MGI)という国家プロジェクトが始動しました。この国家プロジェクトが始まった目的は新しい化学素材の開発期間を半分に縮めることでした。裏返せば新しい素材開発には莫大な時間がかかるのだろうということが容易に想像できると思います。実際、新たな素材を発見し、それが実用化されるまでに5年、10年、20年という時間がかかります。私は製薬メーカーの人間ではないので確かなことはわかりませんが、知人から聞いた話ではある一人の研究員によっては1つの素材の発見から製品化、発売するまでにすべての長い長い社会人生活すべてを懸けるなんてこともあるようです。ものすごい精神力だと思います。このような背景から新材料・新素材の開発にデータサイエンスの予測技術を導入することで、候補素材の開発期間の短期化とコストパフォーマンスの向上がマテリアルインフォマティクス分野で期待されるようになりました。

そ、そんなに開発に時間かかるんですね、、、まず予測して候補の新しい材料を見つける重要性がよくわかりました。。。。

 実際に私が所属する会社でもデータサイエンスで新素材の候補をいくつか列挙してから、それらに絞って開発を進めることで開発期間の短期化と低コスト化を図っている研究室はたくさんあります。私自身も仕事の中で関わることがあります。

 以上のことから、化学産業界を加速的に盛り上げるためにも化学産業界におけるデータサイエンスの重要性は非常に高いものだと私は考えています。

化学産業界におけるデータサイエンティストの今後の需要は?

 先に例として挙げたマテリアルズ・ゲノム・イニシアチブ(Materials Genome Initiative: MGI)はアメリカの国家プロジェクトですが、このようにマテリアルインフォマティクスを重要視する国はアメリカだけではありません。ヨーロッパのEuropean Materials Modeling Council(EMMC)や中国上海大学の材料ゲノム研究所など様々なプロジェクトや研究所が各国立ち上げらています。日本では2015年にJSTイノベーションハブ構築支援事業「情報統合型物質・材料開発イニシアティブ」(拠点:国立研究開発法人 物質・材料研究機構)が発足しました(2020年3月末に終了)。また、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構の統計数理研究所はデータサイエンスの国内有数の研究拠点として,物質探索技術を開発してくれている研究者の方がたくさんいらっしゃるようです。他にも公益社団法人 新化学技術推進協会(JACI)では経済産業省の「未来の教室」実証事業として、データサインエンス専門家の大学教授を講師とした「化学×デジタル 人材育成講座」という若手~マネージャーまで幅広い層をターゲットとした講座が定期的に開催されています(これは私も参加しました。どこかで詳しく解説したいと思います)。

 また私が所属する会社でも近年はデータサイエンスをバックグラウンドとする修士号や博士号を取得した新メンバーが増えてきています。そして、その新メンバーを講師とする社内勉強会等も定期的に開催されており、年々、社内でのデータサイエンティストの存在が重宝されてきているように思います。

以上のような背景から化学産業界のデータサイエンティストの需要は今後年々高まっていくと私は予想しています。これを読んでデータサイエンティストとして化学産業界を盛り上げていきたい!と考えてくれるかたが増えたら嬉しいです^^。

ご質問、ご意見、ご鞭撻ありましたら是非よろしくお願いいたします!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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